現在、地方を中心に「地域運営組織(RMO = Region Management Organization)」が、これからの地域コミュニティを支える組織として注目されています。


 地域運営組織は住民を主体に構成され、地域課題の解決へ取組みを行っていく実践組織です。その多くは小学校や公民館といった1次生活圏を活動範囲としており、防災・福祉・教育・生活交通など、暮らしを支える取り組みを展開しています。

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小さな拠点・地域運営組織の形成に関する都道府県担当者説明会(平成29年6月1日 内閣府 開催)の配布資料より抜粋

 地域コミュニティにおける暮らしは、さまざまな分野が密接に関わり合って成立しています。過疎化少子・高齢化のような問題が顕在化している一方で、若者世代を中心に「田園回帰」と呼ばれるような地方移住ローカル志向の起業といった希望も生まれ始めている状態です。


 生活や仕事のスタイルが異なる人々が、地域運営組織というプラットフォームで活躍し、問題解決へ向かうためには、組織としてのチームワークが不可欠です。私たちは、これまで多くの地域に出向いて一緒に活動させていただいた経験を、あらためてこのサービスに注ぎたいと考えています。合言葉は「地域をチームにしていこう」です。


 私たちはこれまで「地域運営組織をICTで支えられないだろうか?」ということを考えてきました。


 住民は、それぞれが異なる仕事や生活スタイルを営む中でもチームワークを高めていくためには、時間や距離を越えてコミュニケーションができることや、地域の状況をデータ分析できることが理想です。


 また、運営をしていく中で、組織を支える事務局の方々には大きな負担がかかります。会計や行政などとのやりとりを中心に、膨大な事務作業に追われる人々の姿も目の当たりにしてきたこともあり、どうにかこうした負担を軽減できないかとも思いました。山間部にもインターネット環境が整い、パソコンやスマートフォンが普及している現在であれば、地域づくりにおいても、それらの恩恵を享受できるだろうと考えていたからです。

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ICTを活用した全体イメージ。行政や地域住民が、あらゆる分野を越えてICTプラットフォームを活用。情報共有・データ分析を可能とする。

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益田市真砂地区 「真砂の食と農を守る会 大地」と一緒に作成した「農産物集出荷」アプリ

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住民自ら蓄積したデータから、簡単にグラフ化をして分析が可能。

 そのような中、サイボウズ(株)が提供しているクラウドデータベースである「kintone」は私たちの想いに非常に近いものでした。なぜならkintoneは「シンプル」「柔軟」で、「安全・安心」だからです。何より、kintoneは必要なシステムを自分で簡単に、その場で作成できます。高額な予算が必要なICTシステムでは、地域運営組織では用意しづらいのが現実です。低価格で小規模多機能なICTを実現できる点では、kintoneは優れた選択だと思っています。


 私たちはkintoneを基盤にして、地域運営組織を支えるICTプラットフォームを提供します。負担を軽減し、地域を見える化し、コミュニケーションを活発化させる環境をつくることで、チームワークは高まり、より問題解決へ近づけたいと考えています。ペーパーワークをすることに多くの時間を費やすのではなく、問題解決に向けてのアクションに時間を費やせるようになるはずです。


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当社団のプログラムを導入して地域運営をすすめておられる地域運営組織への視察プログラムをご用意しています。

「どのような問題意識をもって地域運営をすすめているのか?」

「現場でICTはどのように利用されているのか?」

「導入する上でのポイントはどこにあるのか?」

など、現地の空気を感じながら研修をすすめていけるプログラムです。

①島根県益田市真砂地区

 テーマ:地域運営組織の運営、農産物出荷×ICT

 受入団体:ときめきの里真砂/真砂の食と農を守る会

 住所:島根県益田市波田町

 世帯数:174 人口:388人 高齢化率:53.1%

 (H29年1月現在)

 ▶ 真砂地区ウェブサイト▶ 真砂地区Facebook


②島根県益田市二条地区

 テーマ:地域運営組織の運営、鳥獣対策×ICT

 受入団体:二条里づくりの会

 住所:島根県益田市桂平町

 世帯数:269 人口:566人 高齢化率:49.5%

 (H28年12月現在)


※現地では当社団のスタッフが全体コーディネートをさせていただきます。

可能な限り申込者の希望に沿うように配慮いたします。

基本金額:32,400円(税込み・5名様までの料金含む)

     1名追加ごとに +3,240円(税込み)


 例) 10名の場合

  32,400円(5名含) + 3,240円×5名 = 48,600円

・人数が5名より少ない場合も基本料金を頂戴いたします。

・現地での資料代は視察料金に含まれております。

・現地までの交通手段は、申込者で手配ください。

・視察料金は、原則半日程度を想定しております。その他の場合は別途ご相談ください。

・食事はご希望いただければ、現地で地元の食材を使用した弁当などを手配できます。(別料金 1,000円程度~)

  • 地域住民と共に、生活実態調査を行います。
  • データベースの仕組みを提供し、調査・集計・報告書作成にかかる作業負担を大幅に軽減します。
  • 蓄積したデータでグラフ化やレポート作成が可能です。
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当社団が受託した集落調査においてkintoneを使用。

家族構成・農地、山林の所有・通院や公共交通の利用頻度など、多岐にわたる情報をkintoneで一元管理。

  • 住民が空き家を調査し、データベース化できます。
  • データベース化した情報は行政と共有することもでき、蓄積されたデータあら、さまざまな分析が可能です。
  • 空き家バンクや危険家屋の管理業務なども可能です。
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益田市人口拡大課 定住促進係 が作成した「空き家管理」

  • 必要なシステムを自分で簡単に作成できます。
  • 会計や帳票出力など、負担の大きい作業を省力化できます。
  • どこからでもデータにアクセスできるので、時間や場所を選ばずに作業ができます。
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益田市真砂地区 地域自治組織 「ときめきの里 真砂」事務局員が作成した「会議カレンダー」

  • 目撃情報や被害状況を画像付きで管理できます。
  • 迅速な情報共有をすることで、被害を防ぐことができます。
  • 過去のデータを分析したり、地域住民の皆さんと情報を共有することができます。
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益田市二条地区 地域自治組織 「二条里づくりの会 くらし部会」が運用している「鳥獣目撃・被害マップ」

 (一社)小さな拠点ネットワーク研究所は、2016(平成28)年より島根県益田市ならびにサイボウズ(株)と協定を締結し、「益田市の中山間地域におけるICTを活用した持続可能な地域運営のモデル構築の実証実験」を行っています。

 島根県益田市は「日本創成会議」から発表された「消滅可能性都市」の1つです。1985 年から人口減少が進み、農業の担い手不足による不耕作地の増加、管理しきれていない山林や里山の荒廃がもたらす鳥獣被害増加、空き家の増加などの課題が、近年散見されていました。

 そこで2013 年より、地域が一体となり課題解決に向けて取り組む地域自治組織の設立ならびに運営の支援を進めてきました。この取り組みが順調に進んだ地域では、活動が拡大した結果、自治組織の事務局スタッフや、行政が配置したサポートスタッフへの負荷が大きくなっていました。

 益田市は、人口拡大に向けて定住施策に力を入れておりますが、自治運営の担い手不足は、今後も恒常的な課題になると考えています。抜本的な解決に向け、ICT を活用した運営効率化の検討を始めました。

 現在、益田市人口拡大課や関係部署、そして益田市の中山間地域の自治組織が、官民一体となり「kintone」を活用しています。


 これからの中山間地域における地域運営に必要な事業の進捗管理や予算利用状況の管理、もしくは野生動物の出現情報といった、地域住民が日々の生活で必要になる情報も共有していくことで、ICT を活用した持続可能な地域運営のあり方を探求しています。益田市は取り組みを通じ、地域住民が主体となり地域課題を解決できるチームづくりを目指しています。



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 人口減少というのものは、地域の経済の縮小であるとか、社会保障システムの維持が難しくなっていくことであるとか、さまざまな意味で地域の経済や社会に与える影響が大きいですので、これはやはり大きな問題です。

 私は平成26 年4 月に、人口拡大計画を策定しました。これは人口の社会増減、自然増減、そして交流人口の拡大、この3つの要素にわけて、それぞれ対策を打つというものです。その後、政府でも地方創生や、地方の人口減少、大都市圏への一極集中ということが問題視されて、「地方創生」という流れが出てきました。益田市ではそれに少し先立つ計画をつくったということです。

 人口の減少というのは、なかなか食い止めがたい大きな流れになっています。そんな中で、地域をなんとか維持していったり、行政機能を維持していくためには、やはり地域の住民の皆様の力をこれまで以上に活用させていただくことがかかせないことになってきます。

 そこで益田市では、地域の課題について、地域住民の皆様が率先して、主体となって考えて取り組んで頂くため、地域自治組織という組織の設立、そして運営の支援を行っています。


 人の力が必要とされればされるほど、なかなかカバーしきれないところをICT でカバーしていくという必要性が高まっていくでしょう。情報共有や意見交換が非常にスムーズになりますし、コミュニケーションが密になります。それから、さまざまなデータ・情報・経験が蓄積されるということですね。

 普段から顔を合わせて話をしていくということも、もちろん大切ですけども、迅速に遠距離でも連絡し合うためには、ICT を使った情報共有というものが非常に重要になってきます。

地域運営組織に鳥獣対策防除班を結成。

クラウド活用で即時の情報共有。野生動物の行動を予測して、先回り防除。

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 近年、人口減少と高齢化が進む地域において、地域へ被害をもたらすイノシシ・サル・クマ。山と里の境界があいまいになった地域において、これらの野生動物は農産物被害だけでなく、住民の暮らしにも不安を与える存在となっています。


 そこで、地域自治組織「二条里づくりの会 くらし部会」では、鳥獣被害対策を事業として立ち上げ、地区住民への勉強会を実施。野生動物の生態や、どのような行動が被害対策につながるのかを住民に伝えてきました。


 2016 年からは、農地を荒らす鳥獣の目撃情報や被害報告を住民から集める体制を構築し、寄せられた情報はクラウド(kintone アプリ) へ入力しています。自宅からでも情報が閲覧できることから、狩猟免許を持つメンバーで分析し、迅速な対策が可能となりました。

 また、入力された情報は市役所や公民館とも共有できており、地区住民への注意を促す放送を流すなどにも役立っています。


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二条里づくりの会は、定期的に地域住民向け鳥獣対策勉強会も開催しています。地域住民が野生動物の生態や特徴を知ることで、一人ひとりが主体性を持って活動ができ、地域全体の情報収集へも繋がっています。

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高齢者が農産物を保育所へ出荷。

クラウドで集出荷管理システムを構築。事務局の負担も大幅に軽減。

 益田市真砂地区では、地域住民が積極的に市内保育所へ安全・安心な農産物を出荷する取り組みを行っています。高齢者にとって生きがいとなり、地域にとっては耕作放棄地の解消へつながっています。しかし、これらの事務を実質的に担っていた公民館スタッフには大きな負担となっていました。


 そこで、保育所からの要望、集出荷、会計などの業務フローをどのように進めているのかを再度確認し、作業負担が大きいものや自動化できる作業をkintoneでアプリ化。


 これにより、集出荷や会計業務が自動化され、事務局が担う作業の負担が大幅に削減。公民館スタッフではなく、地域住民の手によって運用できるようにもなりました。

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真砂地区で毎月開催されている「生産者+保育所 会議」の様子


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真砂の食と農を守る会 事務局の青戸さん。

インターネット環境さえあれば、どこからでもデータを見たり、作業を行うことができるようになった。


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 また、出荷伝票請求書などを発行する際には、(株)ソウルウェアが提供するkintone帳票プラグイン「Repotone U」を導入してEXCEL帳票を出力しています。


 これにより、これまで手作業で作成していた伝票などはkintoneに入力されているデータをもとに自動的に作成できるようになりました。


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集落支援員のために情報スペースを構築。

SNS感覚で情報のやりとりを迅速化。活動日報もクラウドへ入力することで負担減。

 益田市は市内全地区に地域運営組織を支援するための地域魅力化応援隊員(集落支援員)を配置しています。隊員の皆さんは、地区振興センター(公民館)にデスクを置き、地域運営組織の設立や活動の支援をしています。隊員のみなさんが一堂に集まる会議は月1回。地域どうしの情報共有やコミュニケーションには限界がありました。


 そこで、隊員の皆さん向けにkintoneスペースを作成。全隊員へアカウントを付与して、さまざまな情報のやりとりをkintone上で展開。


 現在は、隊員の皆さんの業務日報も、市役所が用意したアプリに入力することで日々の活動の様子を共有しています。


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日々の活動日報はkintoneへ入力。

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隊員どうしのちょっとしたコミュニケーションはスペース内でやりとりが可能。市役所職員が同じスペースにいることで相談などもしやすい環境になった。

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kintone上では、蓄積されたデータをもとにグラフ化が可能なため、毎月の会議資料にもよりグラフを掲載しやすくなった。

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設立:2016(平成28)年5月

住所:島根県邑智郡邑南町矢上6000番地

事業内容:中山間地域の振興に資することを目的とした研究、研修事業、現場支援事業、「小さな拠点」に関する調査・研究事業・普及具体化事業

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白石 絢也

しらいし じゅんや

代表理事

 島根大学生物資源科学研究科修士課程修了。松江市のコンサルタント会社にて、主に隠岐の島町のまちづくり活動支援業務に従事。


 2012年にSPReDを設立・独立、個人ベースでまちづくりコンサルティングをスタートし、条件不利地域における地域振興、観光振興などをテーマに地域のペースを大事にしながらサポートを展開中。


 島根県中山間地域研究センター客員研究員、山口県中山間地域元気創出アドバイザー。

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吉田 翔

よしだ しょう

理事

 広島県立大学大学院 総合学術研究科 生命システム科学専攻博士課程前期 卒業。島根県中山間地域研究センター中山間地域支援スタッフとして、中国地方の中山間地域におけるまちづくり、地域振興のサポートに従事。


 その他、庄原市(広島県)観光ワークショップ「さくらプランニング」技術部門担当、ロケットストーブ制作ワークショップ講師などを務める。

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檜谷 邦茂

ひのきだに くにしげ

監事

 山口大学人文学部言語文化学科 卒業。島根県中山間地域研究センター中山間地域支援スタッフとして、中国地方の中山間地域におけるまちづくり、地域振興のサポートに従事。

 その他、アウトドアインストラクターとして親子の自然体験活動や、地域づくり・教育におけるICTを活用した取組みを実践。


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〒696-0103

島根県邑智郡邑南町矢上6000番地